コンサル未経験者がコンサルティングファームに転職するために必要な能力【スタッフクラス編】
かっこいい面もあれば泥くさい一面も。
近年人気が高まっているコンサルティング業界。
クライアント企業に対して、自分たちでも気づいていない課題や、それに対する対策を提案することができる優秀な組織のイメージがあり、就職を希望する人が後を絶ちません。
採用の競争も激しくなっている中で、どのような能力があれば活躍できるのか、気になっている方も多いかと思います。
そこで今回はコンサルタントになりたい人が知るべきコンサルティングスキルをご紹介します。
マネジャー以上を志望の方はこちら
コンサルワーク未経験者が知るべきコンサルティングスキルとは【マネジャー以上編】 - Change Forward
筆者は28歳からコンサルファームに移り、外資系A社で約3年、同D社で半年コンサルティングを経験しているため、コンサルファームの実態をお伝えすることができます。
【この記事を読むメリット 】
- コンサルファームでの働き方がイメージできる
- コンサルファームで必要な能力がわかる
それでは今回のコンテンツです。
未経験者が転職するために
コンサルタントと呼ばれる人達は、どのような仕事をしているのでしょうか。
コンサルティングにも様々な領域があるのですが、総じて以下のような業務を行っています。
【マネジャー以上】
- 新規クライアントへの案件提案
- 既存案件の現場責任者
- 案件の成果物の定義
【スタッフクラス】
- 既存案件の部分的な責任者
- 成果物作成に係る調査・資料作成
マネジャーがクライアントに提案し、獲得した案件についてスタッフが作業を割り当てられ、成果物を作成するという流れで仕事が進められます。
日本の古典的な企業にありがちな、「手の空いている人が落ちている仕事を拾って担当する」というスタイルではなく、明確に「どのメンバーが月XX時間でこの作業をこなす」と決められて進むのが特徴の1つと言えるでしょう。
スタッフクラスに必要なコンサルスキル
スタッフクラスに求められる能力は、先に挙げた通りに「既存案件の部分的な責任者」や「成果物作成に係る調査・資料作成」ができることです。
具体的に見ていきましょう。
1、既存案件の部分的な責任者
- 基本的な社会人としてのマナー
- 案件計画と現状の把握・理解
- 責任感
ご覧のとおり、いわゆるコンサル的な要素はほぼありません。
現職で中堅以上の役割を担っており、小規模なプロジェクト・企画について全体の管理を行っているようであれば、あまり抵抗なく参画することができるでしょう。
コンサルファームは他の業界に比べると、非常に高い報酬を頂くことになります。
そのプロジェクトの性質や、クライアントとの関係などにより差はありますが、1カ月の費用が300 - 500万程度ということは珍しくありません。
その高い報酬への対価として、最低限、案件のスケジュール・品質は計画どおりでなければいけません。
当然に案件に求められているものを理解し、遅れている場合にはマネジャーと相談した上でのクライアントへの報告をし、自分の担当範囲であれば、ときに深夜残業をしたり、休日に作業をしてでも計画どおりに戻す必要があります。
ただ、繰り返しになりますが、この辺りは事業会社でも一緒かと思います。
報酬が高くクライアントの期待・要求も高いことや、社内にも優秀な人が多いため、特にハードルが高めであることだけ意識して頂ければよいでしょう。
「遅れに気付けない」「報告していない」は問題。責任感と状況理解は重要。
2、成果物作成に係る調査・資料作成
- ロジカルシンキング
- 基本的なフレームワークの理解
- エクセル・パワーポイントの基礎スキル
担当領域の管理以外に、自分で手を動かす作業としては成果物の作成があります。
多くのプロジェクトでは、調査報告書やノウハウ・知見をまとめた提案書などを提出することがゴールに設定されます。
そのため、成果物を作成することはプロジェクトのキモになるのです。
成果物の作成にあたっては、理論立ててストーリーを展開するための「ロジカルシンキング」、調査・分析観点を整理するための「フレームワークの理解」、そして資料をわかりやすく(豪華に)見せるための「エクセル・パワーポイントのスキル」が重要です。
2-1、ロジカルシンキング
例えば、新しい事業を始めようとするクライアントにリサーチ(分析)結果を報告する場合、下記の構成がパッと出てくるということです。
- 新規事業を検討している背景
- 海外・国内でのビジネス環境、ニーズ(制度・競合・ユーザ)
- クライアントとビジネス環境のマッチング・相性
- どのような事業なのか
- どのくらいの市場規模があるビジネスなのか
- クライアントは上記5のうちどのくらいのニーズをとりこめるのか
- 競合に勝つためにどう差別化するか
- どのように運営すればよいか
常に大きな枠から見て理屈を持ってから、より下位の議論をすることで、しっかり理屈の通る資料になります。
海外・国内でも対象とする事業の流れが来ており(2)、また自社でそのノウハウや知見があれば(3)、まず事業の立ち上げは現実的であることがあることがわかります。
そして全体としての市場規模が大きく(5)、そのうち40%のシェアをクライアントが獲得することができれば(6)、採算性も見込めることが明らかになるでしょう。
最後に強豪との差別化ポイントの確認、市場ニーズのヒアリングを行い(7)、具体的にどのように運営するかまで落とし込めば(8)、ストーリーのある筋の通った資料ができあがります。これが「ロジカル」の例です。
また、クライアントの採算性を計算する際に、B to Bの例では
ターゲット企業数 × ○○に困っている割合 × お金を払ってもいいと考えている割合
などと分解して理論立てます。
「フェルミ推定」とも言いますが、求める数字を出すために必要となる要素を考え、概算で数字を作るのです。
これらは慣れればすぐにできるものですが、事前に知っておくとよいかと思います。
ロジカルは地頭も重要だが、習得も可能。励むべし。
2-2、フレームワークの理解
前章で見てきたロジカルシンキングは、「考えるテーマ」が決まった前提で理論立てて考えるものでしたが、その前に「どの観点で考えるか」という議論があります。
マネジャーから定時されることもありますが、自分でもあたりがつけられたり、言われたときにすぐ理解できるようになっていることが望ましいです。
- SWOT分析
- アンゾフのマトリクス
- PPM
- ファイブフォース
- 7つのS
- バリューチェーン など
この辺りは書籍も多いため、興味のある方はあたってみても面白く学べるかと思います。
2-3、エクセル・パワーポイント
もはやホワイトカラー職種の必須スキルと言っても過言ではない、Microsoftソフトのスキルです。
具体的な線引きはありませんが、下記ができると重宝されます。
上が必須に近いスキル、下ができると「なお可」なものです。
【エクセル】
- 表の作成
- 数式の活用(sum、average、vlookupなど)
- ピボットテーブルの利用
- VBAマクロプログラミング
【パワーポイント】
- レイアウトの利用
- オブジェクトの整列
- 表の挿入
エクセルについては「スキル」と言える要素が多いのですが、パワポは完全に「作り慣れ」やデザイン・見せ方のセンスが問われるため、スライドサンプル集などを見てイメージを作っておくとよいでしょう。
なお、いずれも過去の案件で作成したものを使いまわすことが多いため、一度作ってしまえば資産となり、のちの負担が減ります。
最初は大変ですが、多くこなしていくことで「あの時作ったものが使えるな」と効率的に仕事を進められるようになっていきます。
コンサルのジャンルは幅広い
これまでコンサルティングにおける主要スキルをご紹介してきました。
しかし実際は「コンサルタント」と一口に言っても様々な分野があるため、担当業務にも違いがあり、明確に把握しておく必要があります。
担当分野をきっちり把握できていないと、「思っていた仕事ができなかった」と残念な結果になってしまいます。
詳細は別の記事でご紹介していますが、簡単に分類をご紹介します。
- 経営コンサルティング
- 事業再生コンサルティング
- 新規事業コンサルティング
- 業務改善コンサルティング
- ITコンサルティング
- PMOコンサルティング など
コンサルティング業界を目指す際には、どの分野を目指すのかを明確にして、応募企業を絞っていきましょう。
コンサルティングスキルは万能である
コンサルティングに必要なスキルは「つぶしが効く」と言われることがありますが、まさにそうだと実感しています。
ファームによっては業界問わず案件を任されることがありますが、プロジェクト管理の経験・コンサルのベーススキルがあれば、未経験の業界相手にも十分にコンサルティングを行うことができるようになります。
コンサルワークの仕組みさえわかれば、いつか卒業して別の業界に行ったときにも間違いなく活躍することができるでしょう。
(卒業生たちのグループ「アルムナイ」が各社に存在し、互いの情報や求人を共有しています)
↓コンサルティングスキルはポータブルスキルの1つとも言えます↓
【年金不安に打ち勝つ】老後のことが心配ならポータブルスキルを身につけておこう
2019年9月現在、これまで深夜までバリバリ働いていた人たちが働き方改革で残業制限がついた影響もあり、コンサルティングファームはいずれも人手不足になっています。
これまでにご紹介したスキルはコンサルファーム転職に向けてはNice to Haveですが、人手不足で採用が甘くなっている今、チャレンジしてみてもよいかもしれません。
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