【一億総洗脳】働き方改革でブラック企業の基準は曖昧になる
働き方改革の1つとして、裁量労働制の導入がありました。
私はこの裁量労働制の適用対象で、年間約850万の実質固定給になっています。
裁量労働制は仕事をしてもしなくても、会社が決めた時間分働いたことになり、給料は変わらないという諸刃の剣ともいえる制度です。
この裁量労働、いくら働いても評価されない「どブラック企業」のルールです。
楽しい楽しい「働き方改革」の世界へようこそ。。!
【この記事を読むメリット 】
- 働き方改革の真の狙いがわかる
- 裁量労働制の中で快適な働き方ができるようになる
それでは今回のコンテンツです。
裁量労働制は固定給制度である
裁量労働制は、主要な点を凝縮すると「固定給制度」と言えます。
裁量労働の位置づけからそのことは明らかなのですが、まずは裁量労働制がどのようなものなのかを見ていきましょう。
日本型給与体系と裁量労働制
引用しながら見ていきます。
これまでのサラリーマンの賃金は、基本的に 労働時間 × 時間給 で決まっていました。
出勤すればタイムレポートを出し、退社時にタイムレポートを出す。
その就業時間から1時間の休憩時間を引いたものが、労働時間として計算される場合が多いと思います。
そして時間給は、それぞれのベース月給を標準労働時間で割り戻したものです。
残業の場合、これに1.25を掛けたものが一般的です。
残業時間給 =
ベース月給 35万 / (標準労働時間 8時間 * 基準営業日 20日) * 1.25=
約2,734円
そのため、長時間会社にいれば給料は増えるという仕組みでした。
そこに仕事の成果は反映されていません。
毒舌なことを言えば、何をやっているのかよくわからないが、なにやら遅くまで会社にいる人が、残業代を稼いでいられる状態だったのです。
何もしていないアイツ、俺より給料もらってるのか。。
それで困るのは企業です。
働かない人に報酬を払わなくてはいけないからです。
終身雇用廃止の議論と同じように、企業側に余計な費用を出している余裕はありません。
そのため、企業は長時間会社にいることの価値をなくす方法を求めました。
その結果がこちらです。
裁量労働制(さいりょうろうどうせい)とは、日本において労働者が雇用者と結ぶ労働形態のひとつであり、労働時間と成果・業績が必ずしも連動しない職種において適用される。
ざっくり言い換えると、時間と給料の関係は断ち切ったからよろしく!ということです。
もう長く仕事してても、金はやらんぞ。
国がそう言っているんだから仕方ないだろう。
裁量労働制では、労働時間は月に一定の時間に固定され、そのために給与も月額固定になります。
これが労働者にとっては一番のポイントです。
固定給はメリットかデメリットか
さて、では問題は固定給がメリットかデメリットかということです。
企業によるかとは思いますが、一般的にデメリットになりやすいです。
固定給がメリットになる場合
これは、実際に仕事をした時間が、固定労働時間(みなし労働時間)より少ない場合です。
労働時間に関係なく、手持ちの仕事がまわれば遊んでいても問題ないため、仕事量に対して固定労働時間に余裕がある人はメリットがあります。
固定給がデメリットになる場合
デメリットになる場合は、その逆です。
仕事量は膨大にあるのに固定労働時間は足りないという場合、残業や持ち帰り作業をしても残業代は出ないのです。
イメージは、残業代を請求できないブラック企業です。
仕事が終わらないから残業をする。でも残業代を申請できる雰囲気ではないからサービス残業になる。そのシーンと同じです。
しかし、裁量労働制はサービス残業をOK(規定通り)とする恐ろしい制度です。
合法ブラック企業が成立したというのが、この裁量労働制の正体です。
いや、俺じゃないから決めたの。
国だから。ほら定時過ぎたけど働きなよ。
これはいよいよヤバいのでは。。。
裁量労働は成果主義の始まり
では、裁量労働制の中では何で賃金が決まるのか。
それは成果です。Wikiを再掲します。
裁量労働制(さいりょうろうどうせい)とは、日本において労働者が雇用者と結ぶ労働形態のひとつであり、労働時間と成果・業績が必ずしも連動しない職種において適用される。
ここからもわかるように、従来の賃金は労働時価が決めていました。
そこには長時間働けば働いた分、企業の業績アップに貢献するはずという前提があります。
しかし、そのような理屈が通じないことが隠し切れなくなり、生産性のない従業員(特に給与の高い中高年)には給与を出したくないといった意見が出てきたため、
成果で賃金を決める実力主義にシフトしてきているのです。
これまで日本は実力主義の導入に反対でしたが、裁量労働という仮面をかぶって導入を始めたのです。
裁量労働は成果主義よりたちが悪い
そして問題は裁量労働は成果主義の改悪版ということです。
まず、一般的な成果主義はゴールは自分で決められます。
営業であればセールス額、開発であれば納品物の機能数など、自分でやれる範囲で達成し、その分の給与しかもらえないというのが成果主義です。
成果に対する自己責任とも言えます。
それに対し裁量労働は会社の持っている案件としてゴールが決まっているものを、固定労働時間内でやれ、というクレイジーな要求をしています。
通常の実力主義では 成果 ⇒ 給与 であるのに対し、
裁量労働は 給与 ⇒ 成果 となっているのです。
「これだけの給与を出すんだから、このくらいの成果は出してもらう」という強迫に近いシステムです。
表の労働時間固定のみを見ていては騙されてしまいます。
金払ってる分、きっちり期待通り働けということか。。
「期待」は企業が好きに設定できるから、これは地獄の始まりだな。。
これからも新たな労働制度ができてくる可能性が高いですが、国や企業の奴隷にならないよう気を付けていきたいですね。
メリット・デメリットを知って快適な生活を
このように、裁量労働制には、仕事がなければ働かなくてもいいメリットがある反面、給与固定で仕事をやり切らなければいけない鬼制度です。
うまく自分の担当する仕事量を調整して、少しは快適に過ごせるようにしたいと思っている今日この頃です。
- 裁量労働制はメリットもあるがデメリットが大きい
- 裁量労働制導入は合法的ブラック企業の始まり
- 仕事量・期待値をコントロールして死地を乗り切れ
- 今後も労働者にはつらい制度が発効する可能性大。敏感になること